◆私の好きな鉄道風景◆ −18−

私の好きな鉄道風景
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中央線快速電車は立川駅を発車していました。オレンジの車体を見てい ると、大阪の環状線に乗車しているような感覚さえ受けます。大阪環状線の方は もっとくすんでいて使い古されたような感じがしますが。

立川駅から先、中野駅付近まではカーブがないことに気付くかも知れません。 このあたりは、武蔵野鉄道開通当時、何もないところで設計者が定規で線を引くよう にして敷いたのだという話があるんです。確かに地図で見ても車内の路線図を見ても、 この区間はまっすぐ書いてありますね。

三鷹駅に到着すると、特別快速の待ち合わせを行いました。私は特別快 速を特別急行で、特別な券が必要だと思い込んでしまって乗り換えること はしなかったんです。でも、本当は快速の親玉みたいなもので普通乗車券 だけで乗車できたんですね。三鷹駅は地図を見るとおもしろい事実に気が 付きませんか?。駅のちょうど真ん中あたりに玉川上水が流れていて、 そこが武蔵野市と三鷹市の境になります。だからかどうかは知りませんが、 三鷹駅の西の駅は、それを象徴したように武蔵境という名前の駅でした。

三鷹駅からは高架を走ります。車内からの眺めもすこし良くなったよう な気がします。吉祥寺駅を過ぎ荻窪駅あたりで、ふと進行方向右手の 車窓後方を見ていました。快晴の空の下に、うすくシルエットになって 日本一の山「富士」が見えました。この富士は中野駅あたりまで見るこ とが出来ます。私は、都会にいることを忘れてじっと見つめていました。

中野駅から新宿駅まで、この快速電車は停車しません。新宿の超高層 ビル群が右手前方に見えてきます。何気ない動作で左の車窓を見てい ると「まるみ青果」という看板が目に入ります。おそらくあれは東中 野駅と大久保駅の間だったような気がします。 私の愛称「まるみ」と同じなので妙に親しみを覚えました。

中野駅を過ぎると列車は大きく右にカーブします。27キロほども続 いた直線区間を走ってきた列車は「曲がる」という行為を忘れてはい なかったようです。正面へと位置を変えた超高層ビル群の間へ入って いくようにして、列車は新宿駅に到着しました。

−18−完−
Written By marumi.