私が外へ缶コーヒーなどを購入しに行き、自席に戻ろうとその方を見つめると、 なにやら団体さんが話をしています。「若い人の方がええか」「いやあの人に 悪いから、代わってあげた方がええんちゃう」。私は内心しめたと思いました。 そこで、「代わりましょうか?」というと「あらま、聞こえとったんやわ」 と私に聞こえないように小声で話す人が居ました。こうして変わった席はD席。 窓際の席です。それも海側という絶好の席交替でした。
南紀5号は紀勢本線の新宮駅までが非電化区間(架線がないのです)なので 気動車列車が活躍しています。途中河原田駅から伊勢鉄道を経由して紀勢本 線へと向かう列車です。現在はほとんどの急行、特急がこの伊勢鉄道を経 由しているようです。名古屋から紀伊半島方面へ向かうには亀山経由より伊 勢鉄道経由の方が9キロも短く所用時間も短いためなんですが、この ような第3セクター鉄道は、珍しいとも言えるんじゃないかしら?。 ちなみに3線が作る三角形から三角線(さんかくせん)と呼んでいるというような ことを聞きかじりました。
私の持つ乗車券では、当初亀山を経由するつもりだったために車内で伊勢鉄道 区間の精算をする必要がありました。車掌さんを呼び止め、乗車券を見せなが ら「この乗車券は伊勢鉄道経由ではないので、その分支払います」といい追加 の440円を差し出しました。
列車が鈴鹿サーキット稲生を出たあたりだったかしら、気動車が急に停車したのです。 ちょうど私の近くにいらっしゃった車掌さんが「あぁ、止まったかぁ」と呟くと 走りながら乗務員室へと駆けていきました。このことで私は「ただの通過 待ちなどじゃないな」と判断したのです。直後、「ただ今軌道内を歩行中 の方がおりましたので緊急停車いたしました。幸い事故は起こりま せんでした」と車内放送がありました。
南紀5号は途中の津駅から紀勢本線に入ります。たった一文字の駅名表示板を 見つめる私。車内では「松阪牛の牛肉弁当の予約受付を行います」と売り子さ んの放送が入りました。私は新幹線車内で小田原で購入した駅弁を食べていた のでここでは見送る事にしました。松阪の牛肉弁当は税込みで1130円だった ようです。午後3時の昼食になるものでしたが結構、量が出ていたようですね。
満員の乗客を乗せたまま、列車は終着駅、紀伊勝浦駅に到着です。