◆私の好きな鉄道風景◆ −27−

私の好きな鉄道風景
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ある月曜日の新宿駅。通勤ラッシュを尻目に私は5番線にいました。そ こには、伊豆急下田行きの「スーパービュー踊り子号」が停車して いました。私は指定席を確保していました。実は先頭車ならば自由席で、な おかつ客席がハイデッカーなために、前方の景色を満喫できるとい う特典があったのです。でもやはり最前部というのはすでに満席で、 私はしかたなく最後部の車両に指定を願い出ました。

果して、最後部の車両の、なんと、最も後ろの席を確保することが できたのです。つまりは、過ぎ去っていく景色をまのあたりにできるわけ です。

最後部の車両と、前部の3車両は2階建てとなっています。うち2号 車だけは、1階が個室グリーン車で2階が普通グリーン車です。 最前部は、2階が禁煙自由席で、1階がサロンカーになっています。 このサロンカーで喫煙することも出来ます。

私が乗車した最後部の1階には、子供室というものがあります。5番の 座席の横には1階へ下りるための小さな螺旋階段が取り付けられて います。この階段を伝って下へ下りると、そこはまるでおとぎの世界 でした。赤やピンク、グリーンに黄色のレザーシートが置かれ、テ レビではアニメーションのビデオを放映していました。すでに何人かの 子供たちがテレビに注視していたのですが、突然の私の闖入にはまったく 意識していないようでした。

子供たちは突然はっと我に返ると、螺旋階段を駆け上がっていきます。 そして2階へあがると、母親の姿を認めてまた帰ってきます。不意に 電車が動き出し、側に母親がいないことを不安に思ったのでしょうか。 帰ってきた子供たちの顔は、再びテレビに吸い付けられました。

子供室の奥には、授乳室というものが設けられています。別に、ドア があるわけではなくて、ちょっと奥まったところにあるだけのことで す。落ち着いて授乳できるのかな?と思ったのですが「母は強し」ですね、 お構いなしでした (^^;)

列車は、山手線から東海道本線へと合流します。この合流するための 路線は、時刻表には記されていません。実は、大崎駅から貨物線へと 入り、品川駅を通らずに東海道本線へと合流するのです。谷間の 単線路を走り、東海道本線へ合流する様子を、私は最後部の座席で確 認していました。

今日は、伊東まで行って引き返すことにしようっと...

−27−完−


Written By marumi.