◆私の好きな鉄道風景◆ −34−

私の好きな鉄道風景
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六甲の冬は冷たい風が行き来しています。温泉が恋しくなる季節でも あります。ここは瓢箪の形の温泉がある有馬ヘルスセンター。地域住民 の憩いの場となっています。ここ有馬温泉は、日本書紀にも記されて いるように、日本最古の温泉としても知られています。炭酸泉を利用 してお土産品の炭酸煎餅も人気があります。

湯気の立ちのぼる川に沿って坂を下ると、そこは神戸電鉄有馬温泉 駅。島のようなホームの両側に線路が2対あるだけのこぢんまりし た駅です。私はそのうちのひとつから、有馬口行きに乗車しました。 この列車は、有馬温泉と有馬口のひと駅間を連絡しているだけの列車です。 直通列車もいくつかありますが、有馬口駅で、三田方面へとわか れる列車との接続を考慮した物で、このようなピストン運転も見ら れます。

有馬温泉駅を出ると、狭いトンネルに入ります。単線のために圧迫感を 覚えます。このトンネルが結構長いんです。長いトンネルを出ると、進行方 向左手に盛土が見えるかと思います。ここは、過去に半年ほど開業していた でしょうか、新有馬駅の跡です。もちろん駅名標などは撤去されてい てそこが駅だったことを知っている人は少なくなっています。 しばらく単線の木々に囲まれた地域を進むと、右手から三田線が合流してきて 有馬口駅に到着です。

有馬口駅では、三田方面から来た列車に連絡されています。私は三田 発新開地行き準急に乗り替えました。このあたりから住宅が増え始める ことがわかります。それに順応して、線路も複線となっています。通称、 有馬街道という県道に沿って列車は走ります。唐櫃台(からとだい)駅 ・六甲登山口(現、神鉄六甲)駅といかにも山の中の駅名です。

私の住む最寄りの駅を過ぎると列車は徐々に坂を下り始めます。駅前 に「大きな池」があるところから「大池」と名付けられたという駅を 過ぎます。安易な命名だ思うでしょうが、開業当時はこのあたり何も ないところで開発される予定だけがあったところだからしかたがないですね。 この神戸電鉄は、神戸有馬電気鉄道という名前から幾度か名称 変更を遂げているんです。地元のお年寄りなどに聞くと「神有電車(しん ゆうでんしゃ)」と呼ぶこともあります。

最近になって開けてきた、大池・花山・谷上付近。谷上は、私が 幼稚園から小学5年生まで通った駅でもあります。当時は木造の駅舎で 田んぼの真ん中にあるような駅でしたが、昨今の北神急行電鉄の開 業により、駅舎は高架となったのです。旧路線のレールは撤去されましたが、 今なお、その形跡は確認することが出来ます。北神急行のおかげで、 昔ながらの駅は無くなってしまいましたが、便利さが訪れました。

−34−完−


Written By marumi.