◆私の好きな鉄道風景◆ −36−

私の好きな鉄道風景
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北神急行電鉄が開通してから急に活気を帯びてきた、ここ北神地 区ですが、今日は、この北神急行を使わずに、三宮まで行ってみ ようと思います。新開地駅を回っていくことになるが、 この経路だと三宮まで40分ほどかかります。

花山という駅を過ぎると進行左手に崖に張りつくように作られた建 物が見えます。これは、全国でも珍しく、当時のズームイン朝でも取 り上げられたのですが「斜めに昇降するエレベータ」なんです。 奥には阪神高速も出来つつあり、大気汚染の波が押し寄せてきそう です。

谷上駅もそうですが、このあたりは「山」を思わせる駅名が軒を 連ねています。「箕谷(みのたに)駅」は、 まだいいとしても「山の街(やまのまち)駅」には、絶句してしまいませんか?。 この山の街駅には、私が普通自動車免許 を取得するために通った自動車教習所があります。山の中での練習が多 かったために、免許取得後当分は、車線変更が苦手でした。

列車は、車輪を軋ませながら走ります。それもそのはずで、カーブがき ついうえに、勾配がかなり急になっています。1キロ進んで50メー トル下がる(50パーミル[‰]の勾配)というものです。そのために、この鉄道 には至るところに自動列車停止装置(ATS)という安全装置が設置 されているそうです。

神戸のベッドタウンとして駅が出来た「北鈴蘭台」。ここには、私 が通った高等学校があります。最近は、この駅で降りたことがないんですが、 さぞかし変貌を遂げていることでしょう。「鈴蘭台駅」は、神戸電鉄 の要衝とも言える駅です。この駅で、粟生方面と有馬・三田方面 に分岐します。粟生(あお)方面への路線は、鈴蘭台駅から左に向か って急カーブで坂をかけのぼっていきます。私がよく利用した図書館も この途中にあります。いつだったか、この駅でポイントが凍結して、す べての列車が運休になったこともあったのです。

鈴蘭台駅の次は「菊水山駅」となっていますが、この駅には停車しません。 この駅には、ごく一部の各駅停車列車(区間運転の各駅停車)しか停車しないんです。 歴史で有名な「鵯越(ひよどりごえ)駅」、次の「丸山駅」などは山間の 駅です。このあたりから勾配が緩やかになり、「長田駅」。そし て、神戸電鉄の終点である「湊川駅」に到着します。実は、ここから 新開地駅までは「神戸高速鉄道」という鉄道です。神戸高速鉄道は珍 しい路線で、路線はあるけれども車両を持っていないのです。この路線は、4つ の部分からなっていて、それぞれ山陽電車方面、阪神電車方面、阪急電車方 面、そして神戸電鉄方面です。そのすべてが新開地で乗り入れを しているんですが、神戸電鉄方面の路線だけが分断されています。線路の幅 が異なるからでしょうけど、同じ鉄道なのに乗り入れていないというのは おもしろいものです。

列車は地下の新開地駅に到着です。中継改札を抜け、阪急電車に乗り換えます。 地下特有の香りが鼻をくすぐります。三宮まで、あと少し。

−36−完−


Written By marumi.