◆私の好きな鉄道風景◆ −38−

私の好きな鉄道風景
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小田急新宿駅から乗り込んだ特急はこね号は、小田原駅に着きました。 この特急は箱根湯本行きです。小田原から箱根湯本駅までは、線 路の形に興味を覚えます。小田急車両の車輪の幅と箱根登山鉄道の車輪の幅とが 異なるために、この間はそれらの相互乗り入れが可能なように、両方の車輪 の幅に合うように3本のレールが敷かれているんです。ちょうど、山形新幹線 の走る奥羽本線と同じような物ですね。

小田原を出ると単線区間になります。またカーブも急になり、特急列車 は速度が落ちます。箱根板橋、風祭、入生田(いりうだ)駅を通過し ていくと、特急の終着駅、箱根湯本に到着します。箱根湯本 駅は早川という川のほとりにあり、車輪を軋ませながらホームへと 入ります。この早川沿いに温泉街が広がっています。

箱根湯本駅で、強羅(ごうら)行きの登山列車に乗り換えです。私は2両 編成の可愛い電車に乗り込みました。塔の峰トンネルと大ヶ嶽トンネルに 挟まれた小さな塔ノ沢駅を出ると、出山信号所というところで停車 します。運転士さんと車掌さんが外に降り立ち、持ち場を交換しています。 ここで一回目のスイッチバック(急勾配緩和のために、折り返す仕組み) を行うのです。しばらく急勾配を上ると、大平台駅です。正面から小田原 行きの電車が来ます。この駅でもまた、運転士さんと車掌さんが持ち場を交換 します。二回目のスイッチバックです。

正面から来た電車の線路へと入っていきます。大平台駅を出てまもなく 上大平台信号所というところに停車です。ここで三回目のスイッチ バックを行います。スイッチバックの度に運転士さんと車掌さんが持ち場を交換 するその様子を見ているとなんとなく微笑んでしまいます。いくら2両編成だとは 言え、行ったり来たりで疲れるんじゃないかしら。

この電車はどこに向かって走っているのだろうか?と乗客に不安を抱 かせそうなスイッチバックを繰り返しながら、電車は仙人台信号所 に停車です。ここではスイッチバックを行うのではなく、行き違い のための停車です。すでに小田原行きの電車が到着していました。 車内の路線図にこういったスイッチバックをする駅や信号所のことも ちゃんと書かれています。

標高450メートルもある宮の下駅。箱根湯本から6キロ弱で、 340メートルも登ってきたことになるんです。宮の下駅を出ると、 小涌谷(こわきだに)駅に到着。そしてさらに登って彫刻の森駅に到着 します。ここは、箱根彫刻の森美術館があることでも有名ですね。

箱根湯本駅から計算して、約435メートルほど登ったここ、強羅 駅にはさらに先へとケーブルが続いています。芦ノ湖方面へ向かう乗 客はケーブルカーへと乗り込むようです。            

−38−完−


Written By marumi.