◆私の好きな鉄道風景◆ −43−

私の好きな鉄道風景
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山陽本線には支線があります。本線と言いながらも、一日の列車運行本 数は数本しかありません。それでも山陽本線の一部としての扱いを受けて います。この路線は、通称和田岬線。山陽本線兵庫駅から枝分かれし ている支線です。

なぜ、本線に組み込まれたのでしょうか。それは、次のような理由だという ことを聞いたことがあります(違うかも知れない (^^;))。 兵庫−和田岬間は1駅だということと、そしてこの短い線区に、ひとつ の路線名を割り当てることが無駄だったのではないかということです。

さて、時刻表を見ると、休日などには1日に2本しか列車が運行され ていません。他はすべて「休日運休」となっています。工場への通勤客 を運ぶためだけの列車のようです。

休日の朝早く、私は兵庫駅にいます。山陽本線は高架にありますが、 和田岬線ホームは地上にあります。そこに実に奇妙な気動車が停車 していました。なんと、扉が片側にしかないんですよ。 つまり、和田岬方面に向かって、左側には一切扉がなくて鉄板でふさいで あるんです。これは、兵庫駅も和田岬駅も右側が出入口だからという ことなんでしょうけど、あまりの殺風景さにびっくりしてしまいました。 東京の山手線の座席のない車両にも驚きを覚えた私ですが、 これにはさすがに閉口してしまいました。

1日に2本しかないうちの朝の便は、午前7時過ぎに出ます。 この列車に乗るために、私は自宅を5時に出てきたんです。 兵庫−和田岬間は140円区間です。切符を握りしめ、最後部に 陣取って発車を待ちます。

列車がブォーンという音とともに軋み出しました。木造の列車の床は油 が乾いていました。大きく左にカーブしながら山陽本線の軌道と分かれ ていきます。しばらく行くと、見たことのあるマークを付けた車両があ りました。銀杏のマーク、東京都の都営地下鉄の車両が工場に鎮座してい たんです。あとで聞いたところによると都営三田線の車両じゃないかとい うことでした。私にはこのへんが良くわからないので... (^^;)

約5分走ると終点です。距離にして2.7キロ。特にローカル色 豊かな風景があるわけでもないんですが、街の中を走るローカル鉄道。明 日の月曜日には、また多くの乗客を乗せて数回往復するのでしょう。 バスやトラックに変わっていく中で、和田岬線はゆったりと工場へ と続いています。

和田岬駅の改札には改札係の駅員さんがいらっしゃいました。 たぶん、朝夕の列車に合わせて、その時間だけ兵庫駅あたりから 派遣されてきているのでしょうか。私が下車するのを駅員さんは 訝しげに見つめてくださいました (^^;)

−43−完−


Written By marumi.