◆私の好きな鉄道風景◆ −61−

私の好きな鉄道風景
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今回は、ちょっと創作編です。あるバスガイドさんに聞いたお話を元に かなりの脚色をしています。なお小牛田駅以降は、まるみのオリジナルです。 ちなみに、ここに出てくる駅でお弁当を売ってるとか、うまくないとかは まったく関係ありません。あくまで駅名を使った創作です。


<お腹が空いたよ東北本線>

ある日、青森駅を未明に出る列車に乗ったおじさんがいました。

しばらく列車に揺られていると、まだ朝ご飯には早すぎると思っていたのに、 いきなり車掌さんから車内放送で「あさめし〜!温泉〜! (浅虫温泉駅)」 というじゃありませんか。「いくらなんでも、この時間じゃはやすぎるわい!」 と思いながら見送りにします。そしたらそれを嘲るように車内放送が 「ごもっとも〜!(乙供[おっとも]駅)」って流れます。

さらに行って、だんだんとお腹が空いてきたのでお弁当を買おうとしたら、 車内放送が「やめときぃ!(目時[めとき]駅)」と流れます。 「そうか。やめとけと言われるなら、やめとくか」ということで、 ここでも見送りです。 さぁ、お腹が空いてきました。「何か食いたい!」そう思ってホームへ出ると、 駅構内の放送が「うまくない〜(沼宮内[ぬまくない]駅)」。 「うまくないんじゃ食ってもしかたない!」と思い、さらに見送り。

いったいいつになったら朝ご飯が食べれるのやら。そうこうしてるうちに、 もうしんぼうたまらん!って思って「おーい弁当くれぃ!」っていうと 「金が先!(金ヶ崎駅)」だって。おじさんは頭に来て、取り止めてしまいます。

「うーん。おなかすいたぞ!もうだめだ!」と思うのも仕方の無いこと。 もう昼過ぎです。そんなときに、 ようやく「飯食うなら ここだぁ!(小牛田[こごた]駅)」 といわれやっとのことでおなかを満たすことができるのです。

おじさんは「待つ暇(松島駅)」も惜しんで食べまくります。「塩辛(塩釜駅)」 「長餅(長町駅)」なんでもこい。「もの言わぬまま(岩沼駅)」食べ続け。 しかし「あたし(安達駅)ほんとに食い過ぎた(杉田駅)。こりゃま(郡山駅) 食ったの(久田野駅)なんのって、結構高く(高久駅)ついたなぁ。

「おやまぁ(小山駅)こんなに食べちゃってぇ」と回りの人に驚かれ、 「まだまだ(間々田駅)入る」と答えたんです。そうしてやっと箸を置く(尾久駅) ころ、終着上野駅に到着とあいなりました。

ごちそうさま。


−60−完−
Written By marumi.