◆私の好きな鉄道風景◆ −PUGさんの寄稿(その1)−

私の好きな鉄道風景
−PUGさんの寄稿(その1)−



《JR埼京線〜JR武蔵野線---約20分の旅(^^;ゞ》

高架下のスペースに作られた駐輪場に自転車を置き、紺色の制 服を着たおっちゃんに百円玉を渡す。駅に向かいながら腕時計を 見る。(22分のは行っちゃったかぁ。次は31分だな)そんな ことを思いながら、自動改札を抜けエスカレーターを歩いて上り ホームへと目指す。この時間帯には、歩く人の行く手を塞ぐよう にエスカレーターを利用している人は、まず居ない。誰が言い始 めたわけでも無いのに、皆、左側を空けて乗る。

最初のエスカレーターを上ると踊り場にでる。ホームはこの上 である。もう少し寒くなると、ここで電車を待つ人が増える。 今度は階段を利用し、ようやくホームへ辿り着く。上り電車を待 つ側には、かなりの人数がいる。以前の私なら、その中に混じっ て上り電車を待っていたものだが、今は下り電車を待っている。 だから、通勤もそれほど痛勤ではなくなった。周囲に高い建物な ど無いので、ホームからはかなり遠くの景色が見える。池袋のサ ンシャイン60や新宿高層ビル群、快晴なら富士山も姿を現す。

電車の到来を告げるアナウンスが流れ、しばらくして銀色のボ ディにグリーンのラインの入った車輛がホームへ滑込んでくる。 そういえば、アナウンスの声が上りと下りでは違う。他の駅でも そうだっただろうか? 因みに上りは女性の声、下りは男性だ。 いつもの場所から電車に乗り、いつもと同じように扉付近に立 つ。次の駅で降りるから、座席に空きがあっても滅多に座ること はない。車窓から最近開通したばかりの外郭環状線を下に見る。

義兄の家が非常に近くなったのは有り難いが、有料ってのはいた だけないなんて思う。ロッテの工場を過ぎると、そろそろ降りる 駅に到着する。この駅でJR武蔵野線(東京方面行き)に乗換え るのだが、これが大変なのである。埼京線と武蔵野線は、この駅 で交差していて、武蔵野線のホームまで、下り階段−ちと長い通 路−下り階段−短い通路−上り階段と移動しなければならない。 私が乗りたい武蔵野線は36分発。いままで乗っていた埼京線の 当駅到着時刻は35分である。移動に費やせる時間は1分。ここ では皆、走る。混雑した中を走るのは危なく感じるかも知れない が、歩いている方がむしろ危険な気がする。

息を切らして武蔵野線に乗り込む。立ち位置を決める頃には、 車輛はもう走りだしている。少し混んでるかなと思う車内も次の 駅に着くと殆どが降りてしまう。残った乗客には、この次の駅で 降りる制服姿の高校生や、女子大生が目立つ。彼等が降りてしま うと、車内は幾らか静かになる。車窓からは広々とした田畑が見 え、少し目線を上げると遠くに我が母校が。暫くして、通称ワン ツーツーの国道122号を越え、目的地へと到着する。明日、振 り返れば短いと感じるだろう。しかし、今はまだそうとは思わぬ 長い一日が始まる。


1992/12/02記述
Written By パグ

まるみ感想:通勤路線だったとしても、いろいろと眺めていると毎日いろんな ことが起こっているんですよね。地獄と思いながら乗車していると本当に地獄 絵図が見えてきますけど、車窓におもしろいものはないかな?と目を凝らしていると いつもは気付かなかった何かが見えてくるんだと思います。通勤ラッシュにも ちゃんと風景はありますものね。