◆私の好きな鉄道風景◆ −榊原陽平さんの寄稿−

私の好きな鉄道風景
−榊原陽平さんの寄稿−



あの車掌さん、かっこいい!

1998年3月19日。“18きっぷ”の旅で、 大牟田発小郡ゆきの普通列車に乗っていたときのことです。 初めての九州に別れを告げ、下関からは山陽本線を東に向かっていました。 天気が曇りがちだったせいなのか、「もうちょっとで楽しい旅も終わりかあ…」 と思っていたせいなのか、下関を過ぎてからなんとなく落ち込んでいました。

厚狭(あさ)駅あたりで、下関地域鉄道部の車掌さんが “車内改札(まるみ注:以前は「検札」と呼んでいました)”にやってきました。 その車掌さん、始めに「ご乗車ありがとうございます…」とお客にあいさつし、 そのあとていねいに、かつ、てきぱきと改札を進めていきます。そして、 改札がすべて終了し車内をあとにしようとしたとき、 「車内改札にご協力ありがとうございました」と僕たちお客にあいさつし、 帽子を取って深々とお礼をしていったのです。

そのとき僕は、「あの車掌さん、かっこいい!」「もしなるんだったら、 あんな鉄道マンになりたい!」と、まるで子供のように感激しました。 その車掌さんを見て、思わず胸が熱くなりました。そして、 さっきまでのブルーな気持ちがどこかへ飛んで行ってしまうぐらい、 僕は励まされ、元気づけられたような気がしました。



Written by 榊原陽平

まるみ感想:なんでもない小さなことだけど、ほんのちょっとした態度でお客さんの 気持ちや印象が良くなっていくものですね。この車掌さんを見習って、自分が 人の前に出たときに同じように相手にいい印象を与えることができるように なるといいですね。