◆私の好きな鉄道風景◆ −29−

私の好きな鉄道風景
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ここ、千頭駅では先ほど(私の好きな鉄道風景−28) 乗車してきたSLの先頭に立ち記念撮影 をする人たちで賑わっていました。女性の3人のグループも同じように SLの前部に立ったんです。そんなとき不意に真っ白いジーンズをはいた 女性が、座ってしまったのです。当然、真っ白いジーンズはすすで黒く色 づいてしまいました。

記念撮影も終わり、石炭をくべるおじさんに声をかけている人が いました。「暑いんでしょうねぇ」「夏場やったら60度くらいになる わ」と語りあっています。相当な暑さなんでしょうね。彼の顔は、 すすで真っ黒になっていました。千頭駅の脇には「SL資料館」があります。 私はこのあとすぐのミニ列車でさらに奥の井川へと向かうことにしていたため に慌ただしい観覧となってしまいました。ここは、千頭駅の入場券か乗車券が ないと入る事が出来ないそうです。逆に言えば、乗車券があれば無料で 観覧できるということです。中には、アプト式の様子を描いた模型、 レールなどが展示してありました。最初、アプトって何かわからなかったんだけど、 ここでの説明と展示を見て、やっとレールとレールの間に歯車を平たく 伸ばしたようなものと機関車の歯車とを噛み合わせて上り下りする 仕組みだということがわかりました。

また、模型は運転室のハンドルと思えるもので操作が可能でしたが、 しっかり100円必要である事が記されていたので、あっさりあきらめました。

千頭駅は標高が299mあります。ここから一気に山を上り、終着の 井川駅では、標高が686mになるそうです。ここ千頭から先を大井川鉄道 井川線と呼びます。千頭駅では、みんなが景色の良い座席を確保しよう と悩むんですね。景色の良い方向は、進行方向右手、つまり大井川が長く見 える方向ということになるわけですが、往々にしてまったく逆の座席 を確保してしまい後から乗ってきた乗客に良い景色を与える結果に なることがあるんですよ。今後、この井川線を訪れるかたにお教えしておこ うと思いますので、しっかり記憶しておいてくださいね。

この列車に乗車して、良い景色を楽しむならば、機関車 の付いている方向に向かって、左手に座ってください。これは 機関車の先にある線路を見て頂ければわかるのですが、この線は機関車が 後押しをして登っていくのです。だから機関車のあるほうが、 後ろなんです。

井川線を走る列車内部は、横幅が座席3つ、天井の高さが160 センチ程度とかなり小さいです。これは路盤が狭く、また急カーブにも 対応できるというところからなんだそうです。もっとも敷設された当初は 乗客を運ぶことは2の次だったからかもしれませんね。

そんなミニ列車にも車掌さんが乗務されています。車掌さんは最前部に いらっしゃいます。そして運転士さんは最後部です。最前部でマイク をとり、車窓の風景などを案内してくれました。「団体の皆様も、本日 は下見に来られた皆様も、是非帰ったあとに、この井川線を宣伝し ておいてください。よろしくお願いします」と繰り返していらっしゃいました。

−29−完−


Written By marumi.